過去の議会報告 
    令和5年2月 美保関町R5工事・道路補助金と社会資本整備交付金の概要 令和4年2月 令和3年6月
    令和3年2月 令和2年12月 令和2年9月 令和2年2月 令和元年11月 
    令和元年6月 平成31年2月 平成30年11月  平成28年9月   平成28年6月

    令和5年6月議会代表質問・回答全文(PDF)     R5年度R4年決算の総括質疑(PDF)


  令和5年12月質問

29番(森脇勇人) おはようございます。松政クラブの森脇勇人でございます。
 質問に入ります前に、先ほど石倉茂美議員から弔意の言葉もございましたが、先般、前衆議院議長の細田博之衆議院議員が突然にお亡くなりになりました。
 私たち松政クラブをはじめ保守系のそれぞれの会派の皆さんは、大なり小なり細田衆議院議員に、議員としての勉強や提案、要望活動など大変お世話になってきたと思います。
 2002年に科学技術政策担当大臣兼沖縄及び北方対策担当大臣、2004年に内閣官房長官、2008年には自民党幹事長、2012年と2016年と2度にわたり自民党総務会長に就任され、2021年11月には衆議院議長に就任されました。
 小泉内閣の官房長官時代に実務能力が大変高く、交渉において科学的データや理知的な交渉姿勢から、当時のアメリカ合衆国政府関係者から歴代最高の官房長官と称賛されたという逸話は自民党の幹事長列伝の中にも記されています。
 会派としてお話ができたのは、昨年公務で忙しい中、会派の東京研修出張で会食したのが最後となりました。
 そのときに、「松江で早く特定地域づくり事業協同組合制度による組合を設立しなさい、応援するから」という会話が最後となりました。
 令和2年6月4日施行の細田衆議院議員が中心となって議員立法によりつくられた地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に基づく事業協同組合の設立が松江市でいち早く組織することができず、そのときの会話でした。
 今年の出張で、見通しが立ち、設立できるようになったと御報告する予定でしたが、体調不良のため、会食して報告することができませんでした。
 2016年の総務会長に就任されたときには、全国議長会等で提出された多くの要望を総務会長として取りまとめられ、地方六団体の国と地方の協議の場の終わった後のレセプションでは、細田先生が登場されたときの歓声は今でも忘れられません。
 2年前の9月に、竹下亘衆議院議員がお亡くなりになり、今年6月には青木幹雄元自民党参議院議員会長が死去され、国政、島根の政治にぽっかりと大きな風穴が空いたように感じ、寂しさと不安を感じています。
 細田博之前衆議院議長の御冥福を祈るとともに、哀悼の意をささげたいと思います。

 それでは、会派を代表して質問に入ります。
 最初に、来年度の予算編成について伺います。
 いよいよ来年度は、市長、議員の任期も最終年を迎えます。令和2年度から始まった新型コロナウイルス対策における国の支援事業などの対応もあり、思うような仕事も前半はあまりできなかったと思いますが、来年度は市長任期4年の総括となります。市長就任時の公約は達成できたのか、市長の事業実施に向けた思い、来年度予算編成に向けた思いと、考えを伺います。

 次に、先般、令和5年度の中期財政見通しが説明されました。それぞれ今後の目標、策定ポイントを伺ったところですが、改めて今後の財政運営の課題と方向性を伺います。
 合併時1,600億円以上あった地方債残高も、現在1,023億円余りとなり、今回の見通しでは、令和9年には973億円にまで抑制される予定です。また、財政健全化が進み、今後の歳入歳出のバランスは、標準化されるよう見通されています。民間であれば金利が低いときに借入れを行い、事業展開を行いますが、松江市の場合、本来であれば、低金利の中、積極的に市債発行を行ってでも、松江市の基盤となるまちづくりを実行し、事業実施するべきだったと考えますが、ここ数年間、公債費比率を中核市並みに下げることを求め、中期財政計画の計画以上の繰上償還を行い、投資的経費を抑制してきました。このことは、計画事業の遅れや地域の活性化が進まないなど、人口減少に拍車をかけているのではないかと私たちは考えていました。
 そのような中、昨年度から繰上償還から財政調整基金への積立てが行われるようになり、災害やコロナ対策のような有事や突発的な歳出に対して、機動性のある対応ができるようになり、評価をしていますが、今後の繰上償還の考え方、投資的事業に対する考え方、人件費など経常経費の増加に対する考え方を伺います。

 次に、市長の市政運営、議会との関わりについて伺います。
 最近、全ての計画事業の取組が遅いように感じています。そのため、議会への説明が議会直前になり、執行部との信頼関係が薄れてきているように感じます。特に本年6月以降、市長の政治方針、議会対応が変わったように感じています。今までであれば、今後の取り組む事業など、議会説明があった後に広報されてきましたが、最近の状況は、議会説明がないままに市長が記者会見を行うという形で提案されることが多くなってきました。考えを語るのならまだよいのですが、議会議決を必要とする案件や予算が伴う案件まで発表されるのはいかがなものかと考えます。特に議会運営委員会に諮られる前に発表するのは、議会議決をする前に方針を決めていることになり、違う見解をすれば、専決処分をしているのと同じことになります。このことは、議会軽視と見られても仕方ないと考えます。
 我が会派は、是々非々を会派設立以来のモットーとしているため、議会説明が足りないままの議案の議会上程は、本会議の質疑応答の内容によっては、上程されても継続審査や議案否決という結果になりかねません。このことは、計画の遅れや見直しにつながり、私たちも苦慮するところです。
 このことは松政クラブだけではなく、他の会派も大なり小なり感じているのではと推察しますが、市政運営、議会との関わりについて市長の所見を伺います。

 次に、市長の海外出張の成果と効果について伺います。
 新型コロナウイルスの影響も少なくなり、市長は今年に入り、海外出張を再開し、多くの地域に出張されています。1月12日から15日には台北市を訪問し、建国花市に参加、2月5日から9日は再度台北市を訪問され、現地の旅行会社への商談会の開催、またスポーツツーリズムに着目して現地の関係する団体との意見交換が行われています。今年度になり、7月15日から18日にかけてアメリカからの観光誘客を目的にニューヨークへ、18日から20日にかけてはシリコンバレーとの産業連携として、カリフォルニア州ベイエリア、シリコンバレーですが、ここへ10月23日から29日に山陰インド協会の経済視察団としてインドを訪問され、11月12日から14日まで、友好都市提携20周年を記念して、杭州市を訪問されています。
 私も上定市長就任時には、コロナ禍で市長に就任したのに、姉妹都市の市長とも会ったことがないでは困るので、姉妹都市や大根島牡丹の販路拡大などで交流の深い台北市などには交流すべきと促しましたが、1年に延べ5回ですか、これだけ海外出張されるとは思いませんでした。
 5年前に、杭州市の姉妹都市15周年に議長として参加させていただいたときに、当時の杭州市の関係者が前松浦市長に「水を飲む人は、井戸を掘った人の恩を忘れない」と飲水思源の中国の故事成句を毛沢東語録に取り入れた言葉を、歓迎の挨拶として使われたことを覚えています。ぜひ上定市長にも、姉妹都市や友好都市と、こういった関係を築いていただければと思います。
 そして、交流をすることは、私は非常に大切だと思っていますが、過去に私が同席した観光などのインバウンド事業推進でのトップセールスでは、相手や関係者は松江の近くの空港に直行便はあるのか、新幹線は通じているのか、広島や岡山からは何分かかるのかというような質問があり、松江市の本気度を見ているように思われました。
 当時広島からの高速バスを、外国人観光客はワンコインの500円とした政策も行われていましたが、明確にどう対応できるのか答えられなかったように思います。
 そこで伺いますが、今回の一連の視察や交流で市長はどのような成果と効果があったと思われるのか、今後のアプローチも含めて市長の所見を伺います。

 次に、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法について伺います。
 昨年、松政クラブに在籍していた、現在島根県議会議員の野津直嗣議員がこの案件について一問一答で分かりやすく質問を行いましたが、何点か現在の状況、対応について伺います。
 最初に、原発特措法第3条第1項の定義についてですが、現在の適用範囲については、全国の原子力発電所立地市町村14道府県76市町村のうち、青森、福島、茨城、新潟、石川、愛媛、佐賀の8県では、自然的、経済的、社会的条件から、隣々接を含め一体の立地地域として認められていますが、一部のみ立地地域となっているのは、島根県松江市と鹿児島県薩摩川内市の2か所だけであるとの答弁でありました。
 毎年、この立地地域の拡大要望は、合併した新松江市全体に拡大するよう要望されていると思いますが、現在までの状況と、拡大されない理由を伺います。
 これは原発特措法第7条の対象となる事業及び国の負担または補助金の割合の特例を鑑みれば、社会基盤の整備には大変有効であり、対象地域が拡大すれば、多くの事業の進捗が見られることになり、財政的にも大変有利であります。起債の制限枠もなく、松江市の単独事業であれば、県負担もなく、社会資本整備交付金のように、県の関与もありません。しかしながら、この特例措置を港湾漁港以外は、最近あまり使っていないように感じますが、過去5年間の利用実績と、市内の狭隘道路など避難道路、防災道路に対してどのような計画の下、取り組んでいるのか、利用状況と今後の見通しを伺います。
 また、制度の拡充については、市長会や県を通じて国へ要望されていると思いますが、どのような検討がなされているのかお伺いをいたします。

 次に、中海振興について伺います。
 先般、令和9年までの松江市中海振興ビジョンが策定されました。これから持続可能な中海の実現を目指して、6つのアクションを進めていくというものです。そのような中、令和5年度になり漁業権が中海の19区画で認められたとの報道がありました。現在、このうち13区画で組合員約50人が主に赤貝、一部アサリを籠に入れて水中につるして試験養殖をされていました。
 そこで伺いますが、振興ビジョンに漁業権復活による影響はあるのか伺います。

 次に、試験養殖から養殖事業となり、試験養殖の補助から新たな補助など、支援事業が必要ではないかと思いますが、所見を伺います。
 また、この養殖場施設に隣接する、島根県が占用許可を出している貯木場がありますが、占用はされていますが、20年以上使われていません。県の特別会計でも、点検する人件費なども既に計上されておらず、過去に沈んだ貯木もどの程度あるのか分かりません。この水域が利用できれば、養殖事業やスポーツ振興事業なども活発に行われると推察しますが、今後の貯木場の処理や占用、計画など、島根県はどのように説明されているのかお伺いをいたします。
 この項の最後になりますが、先般宍道湖でも謎の魚類の大量死が確認されました。先ほど話した赤貝養殖の現場でも、現場の組合長から今までは影響がなかった養殖籠の赤貝が、一番下の籠は全滅だったとお話を受けました。これは中海でできる貧酸素水塊の水が、近年の高潮や気圧の変化による潮位上昇などの影響で、拡散せずに移動しているように思われます。こういった状況について、国土交通省中国地方整備局、農林水産省中国四国農政局、島根県知事、鳥取県知事、米子市長、境港市長、安来市長、当市の上定市長で構成される中海会議等ではどのように研究されているのか、また報告されているのか、対策も含めて状況を伺います。

 次に、松江市公共交通計画について伺います。
 最初に、現在第4次計画について検討されていると思いますが、進捗状況を伺います。
 また、3次の計画には、AIデマンド交通などは計画されておらず、来年度の国の補助事業申請となると、12月にはできていなければなりませんが、国の補助事業申請との整合性の考えを伺います。
 次に、この計画、特に路線の計画に、総合計画で取り上げているコンパクト・プラス・ネットワーク、つまり拠点連携の考え方は反映されているのか伺います。
 この項の最後ですが、この計画について、議会、議員の意見はどのように反映させるのか伺います。

 次に、子育て支援の状況を伺います。
 現在、国においては、異次元の少子化対策の具体化に向けた議論が本格化しています。また、政府は、6月にまとめたこども未来戦略方針で、2024年度からの3年間で国と地方を合わせて年3兆円台半ばの予算を新たに投入し、それを児童手当の拡充などに充てると明記されました。政府・与党は、年末までに対策の詳細や財源を固める方針ですが、国会を見ていますと、批判、中傷、財源構成などが多く語られ、どのような対策が展開されようとしているのかよく分かりません。松江市議会においては、9月議会において、医療費の無償化について市町村単位で行うのではなく、どこに住んでいても助成が受けられるよう、国において取り組むべきとの意見書も提出しましたが、今回の補正予算について、国の動向はどのようになっているのか、また県の支援策はどのようになっているのか伺います。
 また、こども未来戦略方針で示された案件は、今後どのような形で予算化され、実行されるのか伺います。
 個別の支援事業については、後日、私どもの会派の原田議員が行いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議会でも説明がありました殿町のマンション建設プロジェクトについて伺います。
 先般、議会にも、京阪電鉄不動産が殿町プロジェクトマンション棟、仮称でございますが、これを松江市殿町に、地上19階、高さ58.13メートル、延べ面積1万743平米の高層マンションを新設の予定であり、松江市景観審議会で一部高さについて、お城から見た山の稜線にかからないよう一部変更し、階数を下げて対応されるという説明を受けました。これはそのまま許可が出れば、2024年2月上旬に着工し、2026年11月下旬に竣工する予定とも伺います。そもそも山陰合同銀行本社ビルができるときに、松江市は高さ規制を行っておらず、計画ができてから慌てて動き、そのまま建てさせるという苦い経験があります。本来であれば、都市計画の中で城の周り500メートルは規制するとかしなければならなかったように思いますが、今回の建物はまさしく城の目の前です。このまま建設が進めば、白潟や天神町辺りからはお城は見えなくなります。また、県庁前はいまだ都市計画道路の整備が完了しておらず、仮にマンションができれば、大混雑が予想されます。市としては中心市街地の空洞化対策としてはよいのですが、松江城周辺の景観やまちづくり、土地利用がおざなりになっていないかという思いがあります。上定市長の所見を伺います。
 最後に、会派でこれまで行ってきた過去の質問の回答以降の考え方、事業進捗について、何点か伺います。
 最初に、本年2月に都市計画審議会の答申を受け、従来の線引き制度を用いない、新しい土地利用制度の創設に向けて検討が開始されました。令和4年度2月定例会では、三島進議員から、松江市の土地利用は20年遅れた、令和8年までかかっての新たな利用制度創設は遅いという意見もありました。私たちの会派もそのように感じていますが、その後、進捗について随時の報告もなく、現在も動きが見られません。現在どのような取組を行っているのかお伺いをいたします。

 次に、新幹線整備についての過去の私の質問に対して、岡山県や鳥取県と連携して国へ要望を実施していただくよう県に要望されているようですが、要望の結果はどうなのか伺います。
 境港出雲道路も、当初県は動いてくれず、要望もされていませんでしたが、現在は国の直轄事業として共に要望活動を行っています。伯備新幹線、山陰新幹線の整備事業について、島根県は動いていただいているのか伺います。

 次に、1次産業の振興についての過去の質問に対し、農業を営む方々が、その意欲と希望を持ち、安定的な経営はもとより、もうかる農業実現のため努めていくとの答弁でございましたが、その後の施策の実行と効果を伺います。
 また、鹿島町における養殖事業のための、半循環システムの構築が、栽培漁業や陸上養殖の発展が期待されるとされ、この事業が1次産業の成功モデルとしたいとの答弁もありましたが、現在の実績と今後の展開を伺います。
 最後に、昨年9月議会での私が質問した、万が一、原子力発電所にミサイル攻撃等が行われるような事態になった場合には、迅速に対応できるよう、自衛隊による迎撃態勢及び部隊の配備に万全を期すよう国に要望されていますが、市としての対応はどうなのかお伺いをいたしますとの質問に対し、原子力発電所への武力攻撃やテロ対策に対する発電所の防護対策の再検証、方針の明確化、自衛隊や海上保安庁、警察組織等の拡充強化の要請を行われたとの答弁でありましたが、その後の国の対応と松江市の考えを伺います。
 以上で松政クラブの代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(吉金隆) 上定市長。
 〔上定昭仁市長登壇〕
◎市長(上定昭仁) 森脇勇人議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず初めに、市長就任時の公約をはじめ事業実施に向けた思い、また来年度予算編成の考え方についてお尋ねをいただいております。
 令和3年4月に市長に就任して以降、新型コロナウイルス感染症対策に最優先に取り組むとともに、「松江市総合計画−MATSUE DREAMS 2030−」に掲げる将来像「夢を実現できるまち 誇れるまち 松江」の創造に向けて、同計画に掲げた政策を具体化すべく、スピード感を持って取り組んでまいりました。
 中でも、松江ならではの手仕事、ものづくりに触れることのできる職人商店街につきましては、店舗改修を支援する制度を活用していただき、これまでに山本漆器店、彩雲堂、風流堂、そば処玄が、それぞれ店舗をリノベーションしてリニューアルオープンされております。加えて、中心市街地のにぎわいの拠点施設として、シェアオフィスやそば屋などの複合施設である、つむぎやtatemachi2.0や飲食店とクラフトショップの複合施設である佐草屋がオープンしたほか、来年10月にはカラコロ工房がリニューアルオープンする予定でありまして、職人商店街の形成に向けて着実に歩みを進めているところでございます。
 また、今年4月には、環境省によって脱炭素先行地域に選定され、5月には内閣府のSDGs未来都市に県内で初めて選定されております。これらは、国際文化観光都市・松江の持続的な発展を実現するため、地域資源を最大限生かして脱炭素やSDGsの達成を目指す取組が評価されたものと捉えております。
 8月には、脱炭素先行地域としての取組の一つでありますカーボンニュートラル観光に関して、大手自動車メーカーHONDAとの協働によって、堀川遊覧船を電動化することで、温室効果ガスの排出をゼロにする、世界初となる水上電動推進機の実証事業をスタートさせております。
 さらに、子ども医療費助成について、来年4月から無償化の対象を中学生まで拡大することとし、現在そのための準備を進めております。
 今後も、子育て世代が安心して生活できるよう、島根県とも連携を図り、より効果的な取組を検討してまいります。
 令和6年度は、目下のエネルギー価格・物価高騰の対策などを通じて地域経済の回復と成長を後押ししてまいりたいと考えております。また、インバウンド需要の高まりを捉えた観光誘客や、島根スサノオマジックのホームアリーナである松江市総合体育館の改修など、松江の将来を見据えた施策にも積極的に取り組んでまいりますので、議員の皆様、市民の皆様には引き続きのお力添えをお願いいたします。

 次に、今後の財政運営の課題と方向性についてでございます。
 今年11月に公表しました直近の中期財政見通しでは、今後の財政運営の方向性として、財政健全化指標の水準維持、地方債残高の減少、普通建設事業費の確保、財政調整基金・減債基金の確保の4つの目標を定めております。
 財政運営上の課題としましては、当面、歳入規模は現状並みの水準にとどまる一方で、歳出面では人件費や物件費の高止まりが見込まれておりまして、収支差が縮小する見通しであるため、基金残高の減少を余儀なくされることが挙げられます。
 公共施設の適正化やデジタル化による業務の効率化などの財政健全化策を講じるとともに、有利な財源の活用を通じて基金への積み増しに努め、機動的な運用に対応できる財政基盤を確保する必要があるものと認識しております。
 また関連して、繰上償還、投資的事業、経常経費の増加に対する考え方についても質問をいただいております。
 繰上償還につきましては、バブル経済の崩壊後、経済対策として、国、地方を挙げて積極的な公共投資を進めたため、その財源としての公債費が増嵩したことが背景にございます。
 本市としては、国が平成19年度に繰上償還に伴い発生する補償金の免除を制度化したことを受けて、地方債残高の縮減を行財政改革の目標の一つに掲げ、繰上償還に積極的に取り組んでまいりました。
 その成果として、実質公債費比率などの財政健全化指標の改善が図られておりまして、今後も地方債の新規発行と償還のバランスを確保することで、健全な財政運営に努めてまいります。
 また、投資的経費につきましては、今後5年間の普通建設事業において、年平均129億円、歳出全体の12.3%に当たる一定規模の事業費を積み上げておりまして、執行に当たっては年度間の事業費配分の平準化に努めることとしております。
 経常経費につきましては、人件費や物件費が高止まりする見通しであることから、引き続き職員数の適正管理、公共施設の適正化、事業見直しなどを着実に進めるとともに、自主財源を確保するため、ネーミングライツやふるさと寄附などの取組も強化してまいります。

 続きまして、市政運営、議会との関わりについて所見を尋ねていただきました。
 まず、議員の皆様には、日頃から市政運営に多大な御理解と御協力をいただいておりますことに、改めてお礼を申し上げます。
 今般頂戴した御意見につきましては、真摯に受け止め、今後、議員の皆様とのコミュニケーションを強化し、施策の検討段階においても情報共有に努めてまいります。
 議員の皆様と活発かつ円滑に議論を重ね、市政を進める車の両輪として、共に汗をかいてまいりたいと考えておりますので、引き続きの御協力、御支援を何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、海外出張の成果と効果について御質問をいただいております。
 私の近時の海外訪問につきまして、産業連携と観光振興の取組を中心に御報告をさせていただきます。
 まず、産業連携に関しまして、台湾との交流につきましては、昨年10月に中海・宍道湖・大山圏域5市で台北市との交流促進覚書を締結しております。
 今年1月には、春節前建国花市において、新たに就任された蒋萬安台北市長と面会しまして、観光やボタン、IT、文化、スポーツなど、多面的な交流を深めていくことを確認しております。
 先月11月にはRubyWorld Conferenceに参加するため松江を訪れた台北市のIT企業と市内・圏域内のIT企業とのビジネスマッチングをアレンジしたところでありまして、今月15日、16日には、台北市で開催されるRuby Conf.Taiwanに本市として初めて参加することとしておりまして、覚書に基づくIT分野を中心とする具体的な経済連携が緒に就き始めたと実感しているところでございます。
 さらに、同じく先月11月には、島根大学が交流に関する協定を締結しております台北市立大学の邱英浩学長が台湾政府関係者、企業経営者など約40名と共に松江にお越しになり、意見交換を行っております。
 今後、台北市の顧問でもある邱学長を介して、文化、スポーツ、教育面でも相互の連携を図っていきたいと考えております。
 総じて台湾との経済交流につきましては、私がトップセールスを行い、その後も途切れることなく、担当部局や地元企業と協議、交流を重ねたことで、これらの成果につながったものと認識しております。

 次に、今年7月のアメリカ・カリフォルニア州ベイエリア、いわゆるシリコンバレー訪問では、ベンチャーキャピタル、スタンフォード大学、スタートアップ企業などを訪ね、物流・環境・福祉に関する助言を得てスタートアップ企業との連携可能性を探ってまいりました。帰国後、地元企業や島根大学と情報共有し、連携の可能性を探るべく協議を継続しております。特に、物流サービスを提供するスタートアップ企業につきましては、地元企業とともにビジネス連携の実現に向けたオンラインミーティングを随時実施しているところでございます。
 また、今年10月のインド訪問では、2015年に中海・宍道湖・大山圏域の行政・経済団体と経済交流覚書を締結したケララ州の政府、商工団体との間で人材交流や産業連携の拡大に向けて相互の協力関係を深めていくことについて確認することができております。
 特に2016年から取り組んできておりますIT人材の交流につきましては、さらなる強化を図り、あわせてIT分野以外にも拡大していくことや、新たに環境・防災・食品・デジタル分野でのビジネス連携を進めることについて合意が得られたことは、コロナ禍で停滞していたインドとの経済交流の再開・拡充に向けて友好関係をまき直すことができたものと考えております。
 なお、経済交流覚書の内容の継続とさらなる充実につきましては、ケララ州のラジーヴ産業・法務・コイヤ担当大臣及び印日商工会議所ケララ、いわゆるINJACKのナヤル会長と相互に確認ができたところでありまして、来年、2024年には、INJACKの経済交流団として、本市や圏域を訪問したいとの意向も示されております。
 観光振興につきましては、今年2月の台湾訪問において、市内の宿泊・観光事業者と現地旅行会社との商談会や、サイクリング関係者へのモデルコース提案と意見交換を通じて、本市の観光資源や自然景観などの魅力を発信しております。
 現地旅行会社との商談会開催後、本市が把握しているだけでも、宿泊を伴う台湾からのツアーが11月末時点で54本催行され、延べ1,687人の方に本市を訪れていただいております。
 また、世界最大手の自転車メーカーでありますGIANTの旅行子会社、GIANT ADVENTUREの社長に対するサイクリングモデルコースの提案のフォローアップとして、今年10月にGIANT日本法人の社長を訪問しておりまして、ツアーの受入れ体制や環境整備について意見交換を行ったことが契機となって、来年度、同社による3本のツアー造成につながっております。
 今回のトップセールスを通じて、サイクリングを誘客の有力なコンテンツとして位置づけられたことは大きな成果であったものと考えております。
 さらに、今年7月のアメリカ訪問では、日米の交流を促進するニューヨークのジャパン・ソサエティーにおきまして、城下町と茶の湯文化をテーマに、2日間にわたって本市の歴史・文化・魅力などを発信し、インバウンド誘客を促すためのイベントを開催しております。有料のイベントにもかかわらず、合計287人のニューヨーカーが参加してくださり、アメリカ市場へのアプローチ素材として、城や茶の湯文化が有効であることが確認できております。
 あわせて、現地旅行会社への営業活動を通じて、本市に興味・関心を持っていただくことができ、ツアーの商品化に向けた視察の希望を受けているところでございます。さらに、現地の大手航空会社から本市にアプローチがあったことから、今後連携の可能性を探ってまいります。
 加えて、イベント参加者やジャパン・ソサエティーの会員への情報提供、JNTO(日本政府観光局)、CLAIR(自治体国際化協会)と連携した商談会やイベントへの出展、旅行会社のモニターツアーの企画など、アメリカからの誘客に向けた取組を継続的に行ってまいります。
 先月11月の中国・杭州市訪問では、友好交流協定締結20周年を記念する事業として、本市の魅力ある観光素材を紹介する写真展「松江の週」を開催するとともに、オープニングイベントでは、杭州市民や現地旅行会社の皆様およそ100名に向けて、私が講師となり、本市の観光PRセミナーを実施いたしました。
 セミナー終了後、御来場いただいた旅行会社9社からコンタクトがあったことから、今後、これらの旅行会社へのオンライン説明会などを実施して、具体的な観光ツアーの造成につなげてまいります。
 また、皆美が丘女子高等学校と友好交流に関する合意書を交わしている杭州第十四中学を訪問し、コロナ禍で中断していた対面交流の早期再開や今後の交流拡大に向けた検討を始めることを、陳利民校長と確認しております。
 今後も、教育、観光など様々な分野で杭州市との友好関係を深め、交流、連携を進めてまいります。

 次に、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法につきまして、対象を市全体に拡大するための要望に関する現在までの状況、国への要望の動向、また過去5年の利用実績と今後の見通しについてのお尋ねをいただいております。
 福島第一原子力発電所における事故を踏まえまして、原子力防災対策を実施すべき区域が、従前の原子力発電所から8キロメートルから10キロメートル内のエリアから、30キロメートル内のエリアに拡大され、原子力防災対策を強化するための社会基盤の整備がより一層重要となっております。
 本市としましては、立地地域の見直しや、本特別措置法の対象事業に道路や施設の維持補修を含めること、補助率のかさ上げなどを含む制度の拡充に向けて、島根県や原子力発電所等所在市町村で構成される全国原子力発電所所在市町村協議会を通じて、国に対して要望を行っているところでございます。
 これらは、いまだ実現には至っていないため、本件を所管する内閣府の原子力防災担当において、担当者レベルの協議の場を設けるよう働きかけるなど、継続して要望してまいります。
 また、令和4年度までの過去5年間において、本特別措置法を利用して実施した本市の事業は5件、事業費合計13億1,558万9,000円となっております。その内訳としましては、古浦西長江線、西尾大井線、奥の堂線の3路線に関する道路整備事業、また野波漁港整備事業、消防無線施設整備事業でありまして、加えて令和5年度、今年度は西尾大井線、奥の堂線の2路線の道路整備事業と野波漁港整備事業に活用いたしております。
 本特別措置法の対象事業となれば有利な財源が活用できることから、島根県及び関係省庁と今後も協議してまいります。

 次に、中海振興につきまして、漁業権復活による中海振興ビジョンへの影響について御質問をいただきました。
 中海振興ビジョンは、中海とその周辺エリアの魅力に着目し、中海エリアの未来を考え、具体的な行動につなげるため、自然環境の保全、安心・安全の確保、産業振興など6つのアクションを柱に今年3月に策定しております。
 サルボウガイの養殖に係る支援につきましては、既にビジョンにおいて産業振興の項目に位置づけておりますことから、今回の漁業権の復活について、現行のビジョンへの影響はないものと考えております。
 また、試験養殖から本格養殖に移行するに当たり新たな支援事業が必要ではないかとのお尋ねをいただきました。
 サルボウガイの養殖に関する新たな支援措置につきましては、島根県において水質環境を把握するための塩分濃度計や、水中の酸素濃度を測定する溶存酸素計を用いて、最適な水深に養殖籠を設置するなどの技術支援を行うこととされております。
 本市では、サルボウガイの試験養殖につきまして、資源調査や養殖施設の整備に対する補助を行っておりますが、事業化された後も引き続き養殖施設に係る補助を継続することとしております。
 なお、美保関町万原で行われておりますサルボウガイの陸上養殖につきましては、いまだ技術が確立されていないことから、中海漁協と連携を図り、必要に応じて水槽の整備などに対する支援を行ってまいります。
 また、貯木場の状況でございます。
 島根県が管理しております中海水中貯木場につきましては、合板用の輸入木材を保管する施設として昭和55年から使用されておりましたが、合板の原材料が輸入木材から国産材へシフトし、貯木場で管理する必要性が低下したことから、平成25年以降は利用されておりません。
 現在、島根県において定期的な区域内の巡視や、施設の簡易的な修繕などの維持管理が行われているところでございます。
 島根県によりますと、木材需要については、合板の原材料が輸入木材から国産材にシフトするのにおおむね20年かかったように、今後長期的な国内林業の動向を注視する必要があることから、当面貯木場を使える状態で管理しておくことが望ましいとして、施設を維持する方針と伺っております。
 また、中海の貧酸素水塊の研究と対策の状況についてでございます。
 中海は大橋川を通じて宍道湖の湖水が流入し、境水道からは日本海の海水が遡上するため、上層には塩分濃度の薄い水、下層には重い海水という2層構造になっております。湖底に堆積した有機物が微生物により分解される際に酸素が消費されますが、下層の水は、強風による波が起きても、上層の水と混ざりにくく停滞していることから、下層にはいわゆる貧酸素水塊が広がっていることが分かっております。
 国は、湖沼の水質保全を図るため、昭和59年に施行した湖沼水質保全特別措置法に基づき、島根・鳥取両県知事からの申入れを受けて、平成元年に中海を、湖沼の水質環境基準を保つため、特に総合的な施策が必要な指定湖沼と定めております。これを踏まえて、両県では、平成2年に中海に係る湖沼水質保全計画を策定して、この計画に基づく水質の調査研究を実施しており、今年度は第7期計画の最終年度に当たります。
 鳥取県においては、令和元年度から米子工業高等専門学校との共同研究により、湖底に向けて微細な気泡を吹き込む浄化技術の実証試験を実施しております。また、国土交通省では、湖岸前面の人工の沿岸部において、浅場造成と覆砂を実施することで、波浪によるヘドロの巻き上がりを防ぎ、湖水の透明度を向上させるとともに、生物の生息・生育・繁殖環境を再生することで、湖の自然浄化機能の回復を図っております。
 今後も引き続き、中海とその周辺環境、生活環境の向上に向けて、国、県との連携の下、調査研究を進めてまいります。

 次に、松江市公共交通計画の進捗状況についてでございます。
 次期地域公共交通計画につきましては、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく法定協議会であり、地域住民、福祉団体、経済団体、交通事業者、学識経験者及び行政などで構成しております松江市公共交通利用促進市民会議において策定作業を進めております。
 今年5月22日に開催した第1回市民会議では、事務局から地域公共交通の現状説明を行った後、次期計画のコンセプトや作成スケジュールについて議論を行っております。
 その後、7月31日の第2回市民会議を経て、8月から、市民約4,000人を対象とするアンケート調査や、市内13社の交通事業者へのヒアリング、八束地区、大野・秋鹿地区、古志原地区でのワークショップなど、公共交通の現状や課題を明らかにするためのニーズ調査を行っております。
 先月11月9日には第3回市民会議を開催しまして、路線バスの現状について一畑バス、交通局から報告があり、ニーズ調査の速報値や現計画の目標達成状況などを基に、整理すべき課題と公共交通計画の基本的な方針について議論を行いました。
 これまでこの市民会議では、人口減少、ライドシェア、自動運転の普及など、10年、20年先を見据えた計画が必要、バス事業者間の調整を行い、すみ分けをしないと非効率、運転士不足対策として処遇の改善が必要といった意見が示されておりまして、今月21日に開催予定の第4回市民会議において、これまでの議論を踏まえた計画の骨子案を提示し、議論することとしております。
 本市としましては、バス路線の再編や新たなモビリティーの導入による持続可能な公共交通ネットワークの構築、交通系ICカードによるデータの可視化など、デジタル技術を活用した公共交通の利便性・生産性の向上、シェアサイクルの導入やバス停の環境整備による、人や環境に優しい公共交通の実現、市民会議の活発化による公共交通を支える仕組みの再構築と利用促進といった内容を提示する予定でありまして、議論を深め、策定作業を進めてまいりたいと考えております。
 関連しまして、AIデマンドなどに係る国の補助事業との整合についてでございます。
 本市におけるAIデマンドバスの導入に当たりましては、島根県による地域生活交通再構築実証事業補助金を活用して、システム整備のほか、乗降場所サインの設置、車両のラッピングなどを行っております。
 公共交通に係る計画の策定や調査、実証運行などに当たりましては、国や県の補助制度の情報入手に努め、有利な財源が活用できるよう、スケジュールにも留意しながら事業を進めてまいります。
 また、拠点連携の考え方が反映されているのかという御質問でございます。
 市街地や集落など拠点性のあるコミュニティーを相互に結ぶ公共交通につきましては、本市が目指すコンパクト・プラス・ネットワークを形成する上で重要な役割を担う存在であるものと認識しております。
 次期地域公共交通計画には、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方を盛り込むとともに、拠点間を結ぶ公共交通サービスを維持する仕組みを構築すべく検討を重ねてまいります。
 また、計画について議会、議員の意見はどのように反映させるのかという御質問でございます。
 今月、12月中に市民会議において、次期地域公共交通計画の骨子案を議論の上、取りまとめることとしておりまして、それまでに松江市議会の総合交通対策特別委員会を通じて議員の皆様に御説明し、御意見を伺いたいと考えております。
 さらに、計画の素案を作成する予定の来年2月には、パブリックコメントの実施前に、同じく同特別委員会を通じて説明させていただきたいと考えております。

 次に、異次元少子化対策に向けた国の補正予算の動向についてでございます。
 6月に取りまとめられましたこども未来戦略方針では、国による子ども医療費助成については示されておらず、11月29日に可決成立した国の補正予算においても、子ども医療費助成に関する予算は盛り込まれておりません。
 子ども医療費助成につきましては、国の責任において実施すべきものと考えておりまして、全国一律の制度となるよう、引き続き要望してまいります。
 また、県の子育て支援策につきましてお答えいたします。
 現時点では、島根県においても、子ども医療費助成に関する新たな支援策は打ち出されておりませんが、11月27日の島根県議会11月定例会における議案の提案理由説明の中で、丸山知事は国のこども未来戦略方針を受け、「地方においても子育て世代への支援を進めていくためには、県と市町村が協力して取り組むことが必要であり、今後市町村の意見を聞きながら、財政負担も含めた実現性等について検討する」と表明されております。
 本市としても積極的に県と連携・協議して、子ども医療費助成に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、こども未来戦略方針で示された案件の予算化についてでございますが、こども未来戦略方針に基づくこども家庭庁の令和5年度補正予算におきましては、児童手当拡充に向けたシステム整備、こども誰でも通園制度の試行、こどもの生活・学習支援の拡充など、多様な子育て支援施策が掲げられております。
 本市としてはこのうち、来年10月からの児童手当の支給拡充に関して、所得制限の撤廃、支給対象を高校生年代まで拡大すること、第3子以降の多子加算を月額3万円に増額することをはじめとする制度拡充のためのシステム整備費を、今後予算に盛り込みたいと考えておりますが、それ以外の事業に関しましては、現時点で国から詳細が示されていないことから、国の動向を注視しながら対応を検討してまいります。

 次に、殿町のマンション建設についてお答えをいたします。
 松江城周辺においては、松江市景観計画により、松江城など主要な展望地からの眺望を守るための基準を設けるとともに、6つの景観計画重点区域を指定して、建築物の高さや形態・意匠の規制を設けております。またあわせて、都市計画法に基づき、歴史的な景観の保全、形成を目的に、地区計画を策定し、同様の規制を行っております。
 松江城周辺の建築物に係る高さ規制につきましては、私権の制限がかかるため、地元住民の合意が得られた区域から順次指定しております。
 モニターに掲示しております資料、これが松江城周辺の地図でございます。(モニターを示す)
 これにありますとおり、松江城周辺の黄色とオレンジ色と赤色に網かけされた区域が、高さ規制を導入しているエリアとなっております。
 一方で、本マンション計画地周辺のエリア、ここではマンション建設予定地という青の丸で示しております。
 この区域におきましては、建築物の高さが規制される区域には当たらず、都市計画法に基づく商業・業務地であるため、マンションをはじめとする高層建築物の立地が認められる区域となっております。
 本市としましては、現行の法令や松江市景観計画に基づき、建築物の高さ・形態・意匠などに関する指導を行うこととなりますが、この景観計画が策定された平成19年から15年が経過する中で、大手前通り、だんだん道路の整備が終わり、大橋川拡幅に伴い沿岸の家屋移転が進み、マンションなどの高層建築物が増えるなど、まちの姿が大きく変わる中で、将来的に松江らしい景観を保全、創出していくため、景観上の課題を整理する必要があるものと認識しております。
 ついては、現在取り組んでおります新たな土地利用制度の検討に合わせて、令和8年度を目途に、松江市景観計画を改めるべく検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、土地利用制度に関する現在の検討状況についてでございます。
 土地利用制度につきましては、本市が目指すまちのかたちの考え方や、新たな制度の方向性について、広く周知することを目的に、今年4月から7月にかけて、市内全ての29公民館区で市民説明会を開催するとともに、先月11月までに不動産関連団体や農業関連団体などへの説明会も実施しております。
 合計しますと、市民向けに33回、団体向けに8回、計41回の説明会を開催しまして、1,305人の方に参加していただき、新たな土地利用制度の内容やスケジュール、農地の取扱い、税制などについて意見交換を行いました。
 去る11月23日には、市民の皆様とともに、新たな土地利用の方向性を考える機会として、「あなたがチャレンジできるまち松江」と題した市民シンポジウムを市民活動センターで開催し、オンライン配信も合わせて約140名の方に参加していただいております。
 パネルディスカッションでは、私のほか、国土交通省本省において土地利用制度を所管する都市計画課長や、都市再生推進法人に指定されているまちづくり会社の代表、まちづくりや関係人口の専門家である大学教授などが登壇され、新たなチャレンジが生まれる土地の使い方をテーマに、中心市街地の活性化や空き家の利活用などのチャレンジが生まれる環境づくりについて意見を交わしております。
 参加者からの御質問にも答えながら議論を深めまして、終了後のアンケートでは、参加者の7割強から、土地利用制度に関して理解を深められた旨の回答を得ております。
 一方で、新たな土地利用制度の中身に関しましては、現在、チャレンジしやすい環境、誰もが分かりやすい仕組みをコンセプトに、制度設計に取り組んでいるところでありまして、新たな開発の誘導や、その規制に関する考え方を整理し、規制に伴う影響について検証・分析を行った上で、具体的な制度内容を構築したいと考えております。
 来年1月に開催予定の松江市都市計画審議会を皮切りに、新しい土地利用制度に係る議論を進め、市民の皆様や議員の皆様、関係者の方々からも御意見を伺い、令和8年度中の新制度移行に向けて検討を進めてまいります。
 続いて、新幹線整備に関する岡山県や鳥取県との連携についてでございます。
 森脇勇人議員御指摘のとおり、山陰新幹線及び中国横断新幹線、いわゆる伯備新幹線の整備推進につきましては、かねてより県知事要望において、岡山県や鳥取県等と県レベルで連携を図るとともに、国への要望活動等を主導することを要望いたしております。
 直近では、今年8月に、現在整備中の北陸新幹線金沢−敦賀間の開業後、半世紀ぶりに整備計画路線の見直しがなされると言われていることに言及の上、要望を行っております。
 これらの要望の結果、中国地方知事会が国に対して、今年7月に行った国の施策に関する提案において、山陰における新幹線の整備に向けて予算措置など具体的な取組を推進するとともに、並行在来線の取扱いを含めた地方負担の在り方を見直すことが盛り込まれており、今後も要望を継続してまいりたいと考えております。
 また、もうかる農業実現のための施策についての御質問をいただいております。
 農業経営の安定化ともうかる農業の実現のためには、担い手の育成、確保、スマート農業の推進、農産物の高付加価値化などの取組が重要であるものと認識しております。
 このうち、担い手に関しましては、就農前の技術の習得から就農後のフォローアップまで、島根県やJAなどの関係機関と連携して支援を行ったことにより、昨年度は新規就農者8名と認定農業者7名の育成、確保に結びつけることができております。
 さらに、スマート農業の推進につきましては、ビニールハウス内の環境を遠隔制御するシステムや、ラジコン草刈り機といったスマート農業技術の導入によりまして、農業経営の効率化や生産性の向上を図っております。とりわけ、市内に本拠を置くライスフィールド有限会社は、スマート農業技術を活用した大規模生産などの取組が全国的に評価されておりまして、今年3月には日本農業賞大賞、11月には農林水産祭の内閣総理大臣賞を受賞されております。
 加えまして、揖屋干拓地でのゴールデンパールメロンの栽培に際して、ビニールハウス内の環境を遠隔で制御するスマート農業技術、環境制御システムの導入により、品質の向上や作業の省力化を図っているほか、農水商工連携事業による農産物の高付加価値化にも取り組んでおります。
 今後も、もうかる農業を実現するため、新たな担い手の育成、農地の集約化、スマート農業の導入などを支援してまいりたいと考えております。
 また、生産条件が不利な中山間地域において、担い手不足が深刻化していることから、多様な形態で営農を維持、拡充する必要があるものと認識しておりまして、中小規模の家族経営でも手がけられるカボチャの生産支援や、半農半Xに取り組むUIターン者が農業施設や農業機械を整備する際の費用助成などに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、養殖事業のための半循環式取水システムの構築状況についてでございます。
 アワビ養殖のための半循環取水システムの構築に関しましては、昨年4月25日に学校法人玉川学園玉川大学と青木あすなろ建設株式会社との三者間でアワビ種苗生産及び陸上養殖の実用化に向けた技術交流に関する覚書を締結しております。その後、実証実験を重ねておりまして、システムが確立できたことから、今年9月28日に、先ほどの三者により特許の共同出願を行っております。
 現在、この新しい技術を用いまして、沿岸地域において栽培漁業、陸上養殖の実証実験をスタートしておりまして、引き続き安定的にアワビ種苗を生産するビジネスモデルの構築を目指したいと考えております。
 次に、原子力発電所の防護対策に関する国の対応と松江市の考えでございます。
 原子力発電所を含めて我が国が武力攻撃に対してどのように備えるべきかは、外交上、防衛上の観点から国が検討すべき事柄であるものと考えております。
 これに関しまして、昨年7月に全国原子力発電所所在市町村協議会として国に対する要請を行い、昨年9月議会においてその旨答弁しておりますが、昨年12月に改定されました国家安全保障戦略では、原子力発電所の安全確保について、武力攻撃にも的確に対処できるよう、自衛隊、警察、海上保安庁等による連携枠組みを確立するとともに、対処能力の向上を図るとの考えが示されております。
 本市としましては、引き続き国において必要な対策を講じることが重要と考えておりまして、今年8月に行った全国原子力発電所所在市町村協議会の要請活動に、講武副市長が参加し、国に対して、武力攻撃やテロに対する原子力発電所の防護対策の再検証と防護対策の強化への不断の取組、自衛隊や海上保安庁、警察組織などの拡充強化について改めて要請しております。
 以上、森脇勇人議員の代表質問に対します私の答弁とさせていただきます。
○議長(吉金隆) 森脇勇人議員。
◆29番(森脇勇人) 何点かちょっとお伺いいたします。
 最初に、5番目の原子力発電施設等の立地地域の振興に関する特別措置法なんですが、これ我が会派で勉強しながら、いつも提案しているんですが、なかなか松江市全体にならない。もう一つは、これに応じての社会基盤のとくれば、避難道路、1車線のものを2車線にするだとか、それから狭隘道路になっているんで、擦れ違いがならないとかといった市内の道路、全て終わったような発言もございましたが、過去には。まだまだ市内にはそういった路線がたくさんございます。
 あわせて、松江市内、旧松江市内だけでも、例えば大井や朝酌、本庄、それから竹矢といったところにおいても、古江なんかもそうですけれど、いまだに擦れ違いができないような市道がございます。また、こういったものについて、範囲が広がった時点で積極的にやっぱり取り組むべきじゃないかと私は思います。
 そこで、ちょっと今、令和3年の資料しかないんですけれど、原子力地域の特措法の支援実績というのがネットで出ていますので、見させていただきますと、何と福井や茨城や石川県というのは、そういった市道の対策に対して、たくさんの事業を行っておられます。後先があるかもしれませんが、やはりこれは松江市がきちんと対応して、そういったことで使えるんじゃないかということで提案してみなくちゃ分からんわけでございまして、先般この例えば過疎債、辺地債、これと原発債の違いがあると思います。1点だけ、財政部長、この違いは何ですか。
○議長(吉金隆) 佐目財政部長。
◎財政部長(佐目元昭) 過疎債、辺地債、あと原発特措法のいわゆる原特債の違いにつきまして、まず原発特措法の起債につきまして、これは制度そのものが補助事業の補助裏に対する起債となります。あと過疎、辺地につきましては、そこら辺の縛りがないという違いがございます。以上でございます。

○議長(吉金隆) 森脇勇人議員。
◆29番(森脇勇人) そのとおりなんですよね。ですから、これは県でも答弁があったんだけれど、総体枠の補助事業とか、社交金の総体枠が決まっているから、そこをいじくるとほかの事業に影響するという言い方をするんですよね。それが僕は問題だと思っています。松江市でも同じような考えをしておったら、これは間違いだと思いますので、これは島根県には例えば使用済み核燃料のお金だったり、それから原発に対する今回の廃炉手続の費用なんかについても、島根県にはたくさんお金が入っています。しっかり松江市がそういったお金を使ってやってくれということをやらにゃいけん。そのためには、計画に入れとかにゃいけんと思いますので、これはしっかりと頑張っていただきたいと思います。
 それともう一つ、貯木場の処理、6番でございますが、この件につきましては平成25年当時私も質問をいたしました。当時県議会議員の浅野先生が質問されて、貯木場一部撤去で上の部分を全部撤去されたはずです、3億円か4億円かけられたとか。しかし、下の部分については、県も費用がないもんだから、なかなかそういったことが取り組めんだったと記憶しております。あれから今10年近くたって、その県の特別会計を見ますと、当時点検していた人件費を削っておられます。もう点検する人いないんですよ。そういった状況で、特別会計は全然動いていない、県の。松江市として、このことについてはしっかりと貯木場を撤去するのか、置くんであれば、様々な地域の要望を聞いていただきたいということをぜひ言っていただきたいと思います。
 それともう一つ最後、過去質問の回答の2番で新幹線整備についてですが、これ先ほど市長の答弁で、中国知事会が要望書を出してくれたと、ありがたい話です。島根県も当然動くと思っていますんで、期待しておりますんで、よろしくお願いします。終わります。




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